前回の症状編では、SFTSに感染した犬や猫、人に見られる主な症状について解説しました。SFTSは初期症状が他の感染症や体調不良と似ていることもあり、症状だけで判断することは難しい病気です。

そのため、感染の可能性がある場合には、問診や血液検査、PCR検査などを行い、総合的に判断します。

本記事では、犬や猫のSFTS検査について、獣医師が詳しく解説します。

SFTSはどのように検査するか

SFTSが疑われる場合、まずは症状の経過や生活環境などを確認するための問診を行います。

そのうえで、血液検査によって体の状態を確認し、必要に応じてSFTSウイルスを検出するPCR検査を実施します。

SFTSは症状だけで判断することが難しいため、複数の情報をもとに総合的に診断することが重要です。

問診で感染の可能性や症状の経過を確認

SFTSの検査では、数値データだけでなく、飼い主さんから得られる情報も重要な判断材料です。

SFTSは症状だけでは他の病気と区別が難しいことがあるため、感染の可能性を考えるうえで、症状が出るまでの経過や生活環境を確認することが大切です。

問診では、主に以下のような内容を確認します。

  • いつから体調の変化がみられたか
  • 食欲や元気に変化があるか
  • 発熱、嘔吐、下痢などの症状があるか
  • 屋外へ出る機会があるか
  • マダニに咬まれた可能性があるか
  • 最近の生活環境に変化があったか

これらの情報は、SFTSの可能性を判断するうえで大切な手がかりになります。

血液検査で体の異常を確認

血液検査によって全身の状態や感染による影響を確認します。

SFTSを発症すると血液中の成分や臓器の働きに異常がみられることがあるため、血液検査は病気の可能性や重症度を判断するうえで重要な検査です。

血液検査では、主に以下の項目を確認します。

  • 白血球数の変化
  • 血小板数の減少
  • 炎症反応の有無
  • 肝臓や腎臓などの機能異常
  • 貧血の有無

ただし、血液検査だけでSFTSを確定できるわけではありません。

症状や生活環境、PCR検査の結果などをもとに、総合的に判断します。

SFTSの確定診断はPCR検査を実施

SFTSの感染を確定するためには、PCR検査によってSFTSウイルスの遺伝子を検出する必要があります。血液検査では体の異常や重症度を確認できますが、SFTSウイルスへの感染そのものを確認するにはPCR検査が不可欠です。

ただし、PCR検査の結果だけで判断するのではなく、症状や血液検査、生活環境などの情報を合わせて総合的に判断します。

ここでは、SFTSの確定診断に用いられるPCR検査の特徴や、診断までの流れについて詳しく解説します。

PCR検査でSFTSウイルスの遺伝子を確認します

SFTS確定診断には、ウイルスの遺伝子を増幅して検出するPCR検査を用います。血液検査では体の異常や重症度を確認できますが、体内にSFTSウイルスが存在するかどうかを直接証明できるのが、このPCR検査の大きな役割です。

遺伝子レベルでウイルスを特定できるため、SFTSの診断において最も重要な検査の一つとなります。

感染の可能性を総合的に判断

SFTSの診断では、PCR検査の結果だけでなく、症状や検査データ、さらにはマダニとの接触機会があったかなどの行動歴を含めて総合的に評価することが重要です。

判断する際には、以下のような情報を確認します。

  • 発熱や元気消失などの症状
  • 血液検査で見られた異常
  • マダニに接触した可能性
  • 屋外へ出る機会があるか
  • 普段の生活環境

これらの情報をもとに、SFTSの可能性を評価し、必要な検査や適切な対応につなげます。

気になる症状がある場合は早めに相談

SFTSは初期症状がほかの病気と似ていることもあり、見た目だけで判断することは難しい感染症です。そのため、普段と違う様子に気づいた場合は、早めに動物病院へ相談することが大切です。

ここでは、SFTSが疑われる場合の受診の重要性や、診察時に獣医師に伝えるべき情報について解説します。

SFTSが疑われる場合は早めの検査が重要です

SFTSが疑われる場合には、早めの検査を行い、現在の状態を把握することが大切です。

SFTSには現時点で確立された特効薬がないため、感染の可能性がある段階で状態を確認し、早期に対症療法などの適切な対応につなげることが重要になります。

また、症状の経過や血液検査の結果を確認することで、その後の治療や管理を検討する手がかりになります。

特に、以下の場合には早めに獣医師に相談しましょう。

急な発熱

元気や食欲の低下

嘔吐や下痢

体調不良が続いている

マダニに接触した可能性がある

このような症状や状況がある場合には、早めに状態を確認することで、必要な検査やその後の対応を検討することにつながります。

マダニとの接触歴や生活環境を伝えることが診断の手がかりになります

SFTSは進行すると全身状態が急速に悪化する恐れがあるため、早期の受診と正確な情報共有が不可欠です。

特に診察を進めるうえでは、飼い主さんから得られる情報が診断の大きな鍵となります。

受診時には、以下の内容を獣医師に伝えましょう。

  • 散歩や外出で草むらへ行ったか
  • マダニが付着していたことがあるか
  • 屋外で過ごす時間があるか
  • 同居している動物の体調変化

飼い主さんからの情報が、感染の可能性を判断する手がかりとなり、適切な検査や適切な対応につながることがあります。

まとめ

SFTSは、症状だけで判断することが難しい感染症です。

診断では、問診や血液検査で体の状態を確認し、必要に応じてPCR検査を行い、症状や生活環境なども含めて総合的に判断します。

また、マダニとの接触歴や生活環境など、飼い主さんから得られる情報は診断の重要な手がかりになります。

愛犬や愛猫に普段と違う様子がみられたり、マダニに接触した可能性がある場合には、自己診断せず早めに動物病院へ相談しましょう。