
前回の定義編では、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)が犬や猫だけでなく、人にも感染する可能性がある人獣共通感染症であることや、主な感染経路について解説しました。
SFTSは感染すると、犬や猫にさまざまな症状が現れ、重症化すると命に関わることもあります。また、人が感染した場合も同様に重症化するおそれがあるため、早期に異変に気づくことが重要です。
本記事では、SFTSに感染した犬や猫で見られる主な症状や、人が感染した場合に現れる症状について、獣医師が詳しく解説します。
SFTSに感染した犬や猫ではどのような症状が見られるか

SFTSに感染すると、犬や猫では発熱や元気消失、食欲低下などの症状が見られることがあります。
ただし、初期症状はほかの病気でも見られるものが多く、症状だけでSFTSと判断することは難しい場合がほとんどです。
ここでは、犬・猫。人で見られる主な症状について解説します。
初期にみられる主な症状
SFTSに感染した場合、初期段階では以下のような症状が見られることがあります。
犬の場合
犬では、以下のような症状がみられることがあります。
- 元気がない
- 食欲が低下する
- 発熱
- 嘔吐や下痢
猫の場合
猫では、急激に状態が悪化することがあるため注意が必要です。
- 元気消失
- 食欲不振
- 発熱
- 嘔吐や下痢
- 黄疸
人の場合
人では、風邪や胃腸炎に似た症状から始まることがあります。
- 発熱
- 倦怠感
- 食欲不振
- 吐き気や嘔吐
- 腹痛や下痢
ただし、これらの症状はSFTS特有のものではなく、ほかの病気でも起こる可能性があります。
そのため、症状だけで判断することは難しく、マダニに咬まれた可能性や屋外活動の有無なども含めて総合的に判断することが重要です。
重症化すると現れる症状
SFTSが重症化すると、全身の状態が悪化し、命に関わる深刻な症状が現れます。
犬や猫、人では現れ方が異なりますが、以下のような変化には特に注意が必要です。
犬の場合
犬では、初期症状が進行すると以下のような症状が見られます。
- 強い元気消失
- 食欲低下
- 呼吸状態の悪化
- ふらつきなどの神経症状
- 出血しやすくなる
猫の場合
猫では急激に状態が悪化することが多く、特に注意が必要です。
- 黄疸
- 呼吸状態の悪化
- 意識障害
- 神経症状
- 多臓器不全
人の場合
人でも重症化すると、全身に影響が及ぶことがあります。
- 意識障害
- けいれん
- 出血傾向
- 肝機能障害・腎機能障害
- 多臓器不全
SFTSは、初期症状だけでは判断が難しい一方で、重症化すると急速に状態が悪化することがあります。
そのため、愛犬や愛猫に普段と違う様子が見られた場合は、早めに動物病院へ相談することが大切です。
犬と猫では症状の経過が異なります

SFTSは犬と猫で症状の現れ方や重症化の傾向には違いがあります。
特に猫では重症化しやすいことが知られているため、体調の変化には特に注意が必要です。一方で、犬でも重症化するケースがあるため、油断はできません。
猫は重症化しやすい傾向があります
猫がSFTSに感染すると、急速に状態が悪化するケースが目立ちます。
特に、食欲低下や元気消失などの体調変化が見られた場合には要注意です。猫は体調不良を隠す習性があるため、普段との違いに早く気づくことが重要です。
また、感染した猫の死亡例も多く報告されています。屋外へ出る機会がある猫や、マダニに咬まれた可能性がある場合には、わずかな体調変化でも早めに動物病院へ相談することが大切です。
犬は比較的軽症の場合もあります。
犬では、猫と比べると軽症で経過する場合もあります。
しかし、感染しても必ず軽症で済むわけではなく、発熱や食欲低下、強い元気消失などがみられることがあります。
重症化して命に係わるケースも報告されているため、犬だから大丈夫と考えることはできません。
愛犬に体調の変化がみられた場合や、マダニに咬まれた可能性がある場合には、早めに受診することが重要です。
人が感染した場合にはどのような症状がみられる
SFTSは犬や猫だけでなく、人にも感染する人獣共通感染症です。
人が感染した場合、初期には発熱や倦怠感など風邪や胃腸炎に似た症状がみられることがあります。
しかし、SFTSは一般的な風邪とは異なる感染症であり、市販の風邪薬などでウイルスを治療することはできません。
症状が一時的に和らいだように感じても、感染している場合は重症化する可能性があります。
特に、マダニに咬まれた心当たりがある場合には、自己判断せず早めに医療機関へ相談することが大切です。
人も重症化すると命に関わることがあります。
SFTSは、人にとっても重症化するリスクの高い感染症です。
特に高齢者では重症化しやすく、国内では死亡例も報告されています。
初期症状は風邪や胃腸炎と似ているため、感染の可能性がある状況では自己判断で様子を見るだけでなく、早めに医療機関へ相談することが大切です。
気になる症状があれば早めに受診しましょう

SFTSは、初期症状がほかの病気と似ているため、症状単体で判断することが難しい感染症です。そのため、愛犬や愛猫の普段の様子を観察し、小さな変化に気づくことが大切です。
また、体調の変化だけでなく。マダニに咬まれる可能性がある環境にいたかどうかも、SFTSを疑う際の重要なポイントになります。
愛犬や愛猫に普段と違う様子に気づくことが早期発見につながります
犬や猫は、体調不良を隠すことがあります。そのため、飼い主さんが日頃から様子を確認し、いつもとの違いに気づくことが早めの相談につながります。
特に、以下の変化が見られる場合は注意が必要です。
- 元気がない
- 食欲が落ちている
- 嘔吐や下痢が続いている
- 発熱がある
- いつもと違う行動
また、
- 草むらや山などへ行った
- 野外で過ごす時間があった
- マダニが付着した
など、マダニに接触した可能性がある場合には、症状が軽くても動物病院へ相談することが大切です。
飼い主さんも体調に異変があれば医療機関へ
SFTSは、犬や猫だけでなく人にも感染します。
人が感染した場合、初期には風邪や胃腸炎に似た症状がみられることがありますが、重症化すると命に関わる場合があります。
特に、以下の場合には自己判断せず早めに医療機関へ相談しましょう。
- マダニに咬まれた可能性がある
- SFTSに感染した動物と接触した
- 発熱や倦怠感などの症状が続いている
愛犬や愛猫の健康を守ることは、飼い主さんやご家族の健康を守ることにもつながります。
まとめ

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、犬や猫だけでなく、人にも感染する可能性のある人獣共通感染症です。感染すると、犬や猫では元気の消失や食欲不振、発熱などの症状が見られることがあり、特に猫では重症化しやすい傾向があります。
また、人が感染した場合も風邪や胃腸炎に似た症状が現れることがありますが、重症化すると命に関わる可能性があります。
SFTSは初期症状だけでは判断が難しいため、愛犬や愛猫の普段と違う様子に気づくことや、マダニに接触した可能性などを把握しておくことが大切です。
大切な家族である犬や猫を守るために、気になる症状がある場合は早めに動物病院へ相談しましょう。
次回はSFTSをどのような検査で診断するのか、検査の流れや確認するポイントについて詳しく解説します。


