
猫が何度もトイレに行く姿を見ると、おしっこの回数が多いけど大丈夫かな?と不安になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫が何度もトイレに行く場合、単に水をたくさん飲んでいるだけでなく、膀胱炎や尿石症などの病気が隠れている可能性があります。また、尿道が詰まって尿が出にくくなっている場合など、注意が必要です。
一方で、ストレスや生活環境の変化など、病気以外の原因によって排尿の様子が変わることもあります。そのため、トイレに行く回数だけでなく、尿の量や色、排尿時の様子なども確認しておきたいポイントです。
本記事では、猫が何度もおしっこに行くときに考えられる病気や原因、動物病院を受診する目安、必要となる検査について獣医師が解説します。愛猫の排尿回数が気になっている方はぜひ参考にしてください。
何度もおしっこに行くのは「頻尿」かも

猫が何度もトイレに行く場合、頻尿と呼ばれる状態になっている可能性があります。頻尿とは、1回あたりの尿量は少ないものの、排尿する回数が増える状態です。膀胱炎などの病気が原因となることもあるため、普段と比べてトイレに行く回数が増えてきているときは注意
が必要です。
ただし、排尿回数が増えているように見えても、実際は1回あたりの尿量が増えている多尿のケースもあります。頻尿と多尿では考えられる原因が異なるため、排尿回数だけで判断しないことが大切です。
ここでは、猫の正常な排尿回数や頻尿と多尿の違いについて詳しく解説します。
猫の正常な排尿回数は
猫の排尿回数には個体差がありますが、健康な成猫では1日に2~4回程度が目安とされています。食事内容や水分摂取量、気温などによっても変化するため、回数だけで異常があるとは判断できません。
特に大切なのは、普段の排尿回数を把握しておくことです。いつもは1日に数回程度なのに、急に何度もトイレに行くようになった場合は、膀胱炎などの排尿トラブルが起きている可能性があります。
また、トイレに行く回数が増えたときは、実際に尿がどのくらい出ているのかも確認しましょう。何度もトイレに行くものの、少量しか尿が出ていない場合は頻尿の可能性があります。
トイレの回数が増えたときは、尿の量や色、排尿時の様子など、普段と違う変化がないか確認しましょう。
「頻尿」と「多尿」はどう違う
猫のおしっこの回数が増えたという変化には、尿量が少ないまま排尿回数が増える頻尿と、1回あたりの尿量そのものが増える多尿があります。見た目はどちらも何度もトイレにいくように感じますが、考えられる病気は異なります。
頻尿の場合
- 1回あたりの尿量が少ない
- 膀胱炎
- 尿石症
- 尿路閉塞
- 尿道狭窄など
多尿の場合
- 1回あたりの尿量が多い
- 肝臓病
- 糖尿病
- ホルモンの病気など
このように、トイレの回数だけでは頻尿と多尿を区別するのは難しいです。普段と比べて排尿の様子に変化がある場合は、尿の量や飲水量なども含めて確認し、気になる症状があれば動物病院に相談しましょう。
猫が何度もおしっこに行くときに考えられる病気

猫が何度もおしっこに行く場合、膀胱や尿道など尿の通り道に何らかのトラブルが起きている可能性があります。特に少量しか尿が出ない、排尿時につらそうにする、血尿が見られるといった場合は注意が必要です。
猫の頻尿を引き起こす病気には、膀胱炎や尿石症、猫特発性膀胱炎(Feline Idiopathic Cystitis:FIC)などがあります。また、尿道が狭くなったり詰まったりすることで、尿が出にくくなるケースもあります。
ここでは、尿が何度もおしっこに行くときに考えられる主な病気や、それぞれの特徴をみていきましょう。
膀胱炎・尿石症・尿路閉塞
猫が何度もトイレに行くときは、膀胱炎や尿石症など、尿路に関係する病気が考えられます。これは頻尿や血尿、排尿時の痛みなどを引き起こすことがあり、尿が出にくくなるケースにも注意が必要です。
- 膀胱炎:膀胱に炎症が起こる病気です。何度もトイレに行くものの少量しか尿が出ない、血尿が見られる、排尿時につらそうにするなどの変化が現れます。
- 尿石症:尿中のミネラルなどが結晶化して尿石ができ、膀胱や尿道を傷つけます。尿石が尿道に詰まると尿路閉塞を起こし、尿が出なくなることもあるため注意が必要です。
- 尿路閉塞:尿道など尿の通り道が塞がれて尿が排出できなくなる状態です。特にオス猫は尿道が狭く、尿道閉塞を起こしやすいとされています。尿がほとんど出ない、何度もトイレに行くのに排尿できないといった場合は、早急に動物病院の受診が必要です。
このように、何度もトイレに行く背景には、膀胱や尿道の病気が隠れていることがあります。排尿の変化に気づいたら、尿の量や排尿時の様子なども含めて注意して見てあげましょう。
猫特発性膀胱炎(Feline Idiopathic Cystitis:FIC)
猫が何度もトイレに行くときに考えられる病気の一つに、猫突発性膀胱炎(FIC)があります。FICは、膀胱に炎症が起こるものの、尿石症や細菌感染など、明らかな原因が特定できない膀胱炎です。
何度もトイレにいく、少量しか尿が出ない、血尿がみられる、排尿時つらそうにするといった症状が見られます。また、ストレスや生活環境の変化などが発症や再発に関係すると考えられており、繰り返し症状が現れることもあります。
FICについては、症状や原因、治療、再発防止の対策などを別記事で詳しく解説しています。気になる症状がある場合は、合わせて参考にしてください。
リンク:【獣医師監修】猫特発性膀胱炎(FIC)とは?症状や原因、治療法を解説
何度もおしっこに行く病気以外の原因

猫が何度もトイレに行く原因は、病気だけとは限りません。ストレスや生活環境の変化などが、排尿の回数や様子に影響することもあります。
病気が見つからない場合でも、最近の生活に変化がなかったか振り返ってみることが大切です。
ここでは、何度もおしっこ行くときに考えられる、病気以外の原因について解説します。
ストレス環境の変化
猫は環境の変化やストレスによって、排尿の様子が変わることがあります。引っ越しや家具の配置換え、家族や同居動物の増減など、猫にとって生活環境が変わったときは注意が必要です。
また、トイレの場所や清潔さ、落ち着いて排泄出来る環境かどうかも、猫の排尿に影響することがあります。
最近、何度もトイレに行くようになった場合は、病気だけでなく、生活環境に変化がなかったかも振り返りましょう。
猫が環境に慣れるまでの期間と工夫
環境が変わったときに猫が落ち着くまでの期間には個体差があり、数日で慣れる子もいれば、数週間以上かかる子もいます。できるだけ安心して過ごせる環境を整えてあげることが大切です。
例えば、これまで使っていたベッドや毛布など、猫自身のにおいがついたものを新しい環境に置くことで、慣れたにおいが安心材料になることがあります。また、飼い主さんのにおいがついた衣服などもそばに置く方法もあります。
無理に新しい環境に慣れさせようとせず、猫が自分のペースで過ごせるよう、落ち着いて隠れられる場所を用意してあげるのもよいでしょう。
動物病院の受診の目安と検査方法

ここまで、猫が何度もおしっこに行くときに考えられる主な病気や原因について解説してきました。特に、尿が出ない、血尿がある、排尿時につらそうにするなどの変化が見られる場合には、すぐ動物病院を受診しましょう。
動物病院では、症状や排尿の状態を確認したうえで、尿検査や画像検査などを行い、原因を探ります。
ここでは、受診の目安と、動物病院で行われる主な検査について解説します。
尿が出ない・血尿・排尿時の痛み
特に注意したいのが、尿が出ない状態です。尿道が詰まる「尿路閉塞」が起こると、尿を体外へ排出できなくなり、放置すると短時間で重篤な状態につながります。
血尿や排尿時の痛みは、膀胱炎や尿石症など尿路に炎症や傷が生じているサインです。何度もトイレに行く、排尿時に鳴く、落ち着かないといった様子がないかも確認しましょう。
これらの症状が見られる場合は、様子を見続けず、早めに動物病院を受診しましょう。
尿検査や画像検査など
猫の排尿トラブルでは、まず尿検査を行い、尿の性状や血液、結晶、細菌などの有無を確認します。尿検査によって、膀胱炎や尿石症などの可能性を調べる仕組みです。
必要に応じて、超音波検査やレントゲン検査などの画像検査を行うこともあります。膀胱内の尿石や腫瘤、尿路の状態などを確認し、症状の原因を深く探っていく手順です。
どの検査を行うかは、症状や診察時の状態によって異なります。何度もトイレに行くなどの変化があれば、できる範囲で排尿の回数や尿量、血尿の有無などを伝えると診断の大きな助けになります。
猫の排尿トラブルを防ぐためにできること
猫の排尿トラブルを防ぐには、普段から水分をとりやすく、落ち着いて排泄できる環境を整えておくことが大切です。膀胱や尿路のトラブルは、日々の生活環境が関係する場合もあります。
いつでも新鮮な水が飲めるようにするほか、猫が落ち着いて使える場所にトイレを用意しましょう。トイレを清潔に保つことも、快適に排泄できる環境づくりにつながります。
また、引っ越しや家具の配置換えなどで環境が変わるときは、猫が安心できる場所を用意することもポイントです。これまで使っていたベッドや毛布など、猫自身のにおいがついたものを置いておくのもよいでしょう。
飲み水・トイレ環境・ストレスへの配慮を日頃から意識することが、排尿トラブルの予防につながります。
まとめ
猫が何度もトイレに行く場合、1回あたりの尿量が少ない頻尿の可能性があります。膀胱炎や尿石症、猫特発性膀胱炎(FIC)などの病気だけでなく、尿道狭窄やストレス、環境の変化などが関係していることもあります。
特に、尿が出ない、血尿がある、排尿時につらそうにするなどの変化には注意が必要です。尿路閉塞など緊急性が高い病気が隠れている可能性もあるため、早めに受診しましょう。
普段から水分をとりやすく、安心して排泄できる環境を整えておくことも、排尿トラブルの予防につながります。愛猫の排尿の様子に変化が見られたときは、いつもと違うサインを見逃さず、必要に応じて動物病院に相談しましょう。

