犬猫の避妊は浸透してきてはいるものの、避妊を選択されない飼い主様も中にはいらっしゃいます。
手術を受けさせるのが可哀想、麻酔が怖い、自然のままでいさせたい、それぞれお考えがあると思います。
それでも、声を大にして言わせてください。
避妊手術は絶対にやるべきです!(子どもを産ませないなら)
なぜなら、避妊することで防げる病気は、命にかかわるレベルのものが多いからです。
しないで得られるメリットより、しないで被るデメリットの方が遥かに多いからです。
これは、未避妊の10歳の小型犬の症例です。
乳腺のしこりが気になり、受診されました。
詳しく調べたところ、お腹の何ヵ所にも発生していることが分かりました。
これは、手術前に切除範囲を決めるためにマークした時の写真です。
手術後数日経過した術創です。乳腺を含む皮膚の切除が広範囲に及ぶため、傷も大きくなります。
合わせて行った避妊手術では、子宮に水がパンパンに溜まる子宮水腫が見つかり、卵巣子宮全摘出になりました(通常の避妊手術であれば卵巣のみの摘出です)。
病理組織検査の結果、乳腺のしこりは良性腫瘍でしたが、もし悪性だった場合既に肺などに転移している可能性もあり、余命はかなり短いものになってしまいます。
避妊手術で皮膚を切る範囲はせいぜい数センチです。麻酔をかける時間も1時間ちょっとです。
その子の事を思って…と避妊をしない道を選んでも、かえって大変な手術をすることになったり、手遅れの場合そのまま亡くなってしまうことさえあります。
ペットの将来を決められるのは、結局のところ飼い主様の選択です。
どうか後悔することの無いよう、正しい知識に基づいて、より良い犬生、猫生になるよう判断いただければと思います。