チンチラとは?

チンチラ(Chinchilla)は、南米原産の小型哺乳類で、ふわふわの毛並みと愛らしい見た目から、ペットとして人気が高まっています。しかし、チンチラはとても繊細な動物で、環境の変化やストレスに弱く、特定の病気にかかりやすい特徴があります。

本記事では、チンチラがかかりやすい代表的な病気とその予防法・対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。

チンチラがかかりやすい代表的な病気

1. 消化器系のトラブル(胃腸うっ滞・鼓脹症)

• 症状:食欲不振、排便量の減少、腹部膨満、元気消失

• 原因:繊維質の不足、水分不足、ストレス、運動不足、痛みなど原因は多岐にわたります。

• 対処法:すぐに動物病院へ。強制給餌や消化管運動促進剤が必要な場合も。

• 予防法:チモシーなど繊維質豊富な牧草を主食にし、常に清潔な水を用意する。

2. 不正咬合(歯のトラブル)

• 症状:食べにくそうにする、よだれ、体重減少、目の異常

• 原因:チンチラの歯は常生歯のため、かじる物が不足すると過剰に歯が伸びてしまい、口の中で歯が刺さることによって
ご飯を食べれらなくなり衰弱して死亡してしまうことがあります。

• 対処法:獣医による歯切り処置
基本的には奥歯の不正咬合は全身麻酔下での処置になります。

• 予防法:かじり木や硬めの牧草(チモシー一番刈り)を与えて、自然に歯をすり減らす習慣をつける

3. 皮膚病(皮膚真菌症、脱毛など)

• 症状:かゆみ、フケ、脱毛、皮膚の赤み

• 原因:湿度の高い環境、不衛生、ストレス

• 対処法:抗真菌薬の投与や患部の洗浄

• 予防法:ケージ内の湿度を40〜60%に保ち、こまめに掃除する

4. 熱中症

• 症状:呼吸が荒い、ぐったりする、けいれん、食欲不振

• 原因:高温多湿な環境(特に夏場)
チンチラは元々チリ原産で、標高の高い、涼しい場所に生息する生き物です。
日本の高温多湿な環境に適応することはできません。

• 対処法:速やかに冷却し、動物病院へ

• 予防法:エアコンや冷却グッズを使用し、常に25℃以下を保つ

病気を防ぐために飼い主ができること

1. 適切な温湿度管理:25℃以下、湿度40〜60%を維持

2. バランスの取れた食事:チモシー中心の食事にし、ペレットやおやつは適量
大袈裟かもしれませんが、当院を受診するチンチラちゃんの病気のうち、30−50%は食事管理のみで予防できる疾患です。

3. ストレスを与えない環境作り:静かな場所にケージを置き、急な環境の変化を避ける

4. 定期的な健康チェック:体重の記録、毛並みや排泄物の観察など

5. 信頼できる動物病院を見つけておく

まとめ

チンチラは見た目の可愛らしさとは裏腹に、非常にデリケートな生き物です。早期発見・早期治療が何より大切ですので、日頃からの観察とケアを怠らず、異常を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。