猫の胸水症は、肺周囲または胸腔に異常な量の液体が貯留する病気です。
端的に伝えると肋骨と肺の間に液体が溜まっていると考えると想像しやすいかと思います。
飼い主さんは「呼吸が早い」「ご飯を食べない」などの症状で気づくことがあります。
また、多くの飼い主さんに、「お風呂場にずっといる」と言われることがあります。
私の祖母が飼っていた猫ちゃんも、お風呂場で呼吸が早い状態で発見され、病院に連れて行かれました。
湿度が高いからなのか、気温が一定のため少し楽なのか、実際のところ理由はよくわかりません。
原因は様々ですが、特に中高齢の猫や特定の品種(例:ペルシャ猫、メインクーン)で見られることが多いです。
猫伝染性腹膜炎(FIP)や心不全、腫瘍などの原因が考えられ、
FIPによる胸水症は、特に若年猫や密閉飼育環境での発生率が高いとされています。
その他にも交通事故などの外傷や肝臓病などで起こることもあります。
治療法
胸水症の治療は、原因と症状に基づき行います。
- 胸腔穿刺(ドレナージ)
- 呼吸困難を緩和するために、まず胸腔穿刺を行い胸水を除去します。
ただし、FIPのように再発する可能性がある場合、繰り返し行う必要があることがあります。
- 根本治療
- FIP:FIPによる胸水は治療が難しいですが、抗ウイルス薬(例:GS-441524など)や免疫調整剤を試みる場合もあります。
- 心不全:利尿薬(例:フロセミド)やACE阻害薬を投与し、心機能をサポートします。
- 腫瘍:外科的切除、放射線療法、化学療法の選択肢がありますが、進行状況や腫瘍の種類に応じて決定されます。
- 感染症:膿胸などの場合は、抗生物質療法や洗浄を行い、必要に応じてドレナージを行います。
- 管理とフォローアップ
- 根本的な原因の治療が難しい場合、長期的なフォローアップと支持療法が重要です。
一般に胸水症(肋骨と肺の間に液体が溜まった状態)は肺が圧迫されているためとても苦しい状態にあります。
当院では緊急処置として胸腔穿刺を行うことが一般的です。
猫ちゃんは呼吸状態が悪いことを確認するのがとても難しい動物です。
一般的に安静時(つまり家に普通にいるとき)の呼吸の回数が一分間に40回を超えたときはすぐにその日に動物病院に行ってください。