猫が「ハアハア」と口を開けて呼吸している様子を見ると、飼い主としてはとても心配になりますよね。
通常、猫は犬のように口を開けて呼吸(開口呼吸)することが少ないため、「猫がハアハアしている=異常」というケースも多く見られます。
この記事では、猫がハアハアする原因や考えられる病気、受診の目安、対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。
猫がハアハアするのは異常?正常なケースもある?
猫が口を開けて「ハアハア」する行為は、医学的には「パンティング(panting)」と呼ばれます。
一時的なストレスや運動後の場合は正常のことも
- 激しい運動の後
- 暑い場所での一時的な体温調節
- 病院での診察時など極度の緊張
このような状況では一時的にパンティングが見られることがあり、数分以内に落ち着けば心配はない場合もあります。
【要注意】猫がハアハアする主な原因と病気
一方、以下のような場合には病気のサインである可能性が高く、早めの受診が必要です。
1. 呼吸器系の疾患
- 喘息(猫喘息)
- 咳やゼーゼー音を伴うことが多い
- ハアハアは発作時に顕著
- 肺炎
- 発熱、食欲低下、元気消失も伴う
- 胸水(胸腔内に液体がたまる)
- 重度になると持続的な呼吸困難に
2. 心臓病
- 肥大型心筋症
- 心不全によって肺に水がたまり、呼吸困難になる
- 呼吸数が増え、口を開けて呼吸するように
- 血栓塞栓症(後肢の麻痺を伴うことも)
3. 熱中症
- 特に真夏、閉め切った部屋で留守番中に起こりやすい
- 猫は汗腺が少ないため、体温調節が苦手
- ハアハアは初期症状。進行するとぐったりして命に関わります
4. 極度のストレス・恐怖
- 引っ越し、通院、雷や花火など
100頭〜200頭に一頭くらいの割合で、通院するとずっと口を開けてハアハアしてしまい、来院後も治らない、
病院に戻ってきてレントゲンや心臓の検査をしても全く問題なく、2−3日後には何事もなかったように生活できる猫ちゃんがいます。
おそらく通院に対して過剰な緊張によってハアハアしてしまっているのだと思います。 - パニック時にパンティングが見られる
5. 痛みやショック状態
- 事故や重度のケガ、消化器疾患(膵炎など)による強い痛みでもパンティングが出ることがあります
猫がハアハアしているときのチェックポイント
以下の点を確認して、すぐに動物病院へ連絡するか判断してください。
チェック項目 | 確認ポイント |
---|---|
呼吸数 | 安静時に1分間で30回以上は多い可能性あり |
呼吸の様子 | 腹式呼吸、努力呼吸、口呼吸 |
その他の症状 | 咳、ぐったり、よだれ、体が熱い、後肢麻痺など |
発生状況 | 熱中症の環境か?ストレスや運動後か? |
猫がハアハアしたときの正しい対処法
- まず落ち着くこと
- 飼い主が慌てると猫もさらにパニックになります
- 静かな場所で安静に
- クーラーの効いた部屋で休ませて様子を見る(熱中症の疑いがある場合)
- 症状が続く場合はすぐに動物病院へ
- 特に10分以上続く、他の症状を伴う場合は緊急対応が必要です
まとめ:猫の「ハアハア」は見逃さないで
猫のパンティング(ハアハア)は、命に関わる病気のサインであることも珍しくありません。
特に「呼吸が荒い」「口を開けて呼吸している」「ぐったりしている」などの症状が見られた場合は、迷わず動物病院を受診してください。大切な愛猫の命を守るためにも、早期発見・早期治療が重要です。