1. 食欲不振の症状と重要性
猫の食欲不振(食欲減退、食べる量の減少)は、軽度の体調不良から重大な健康問題に至るまで、さまざまな原因で発生します。
元気がある場合でも、猫が24時間以上全くご飯を食べない場合は動物病院に連れて行ってください。
特に子猫や高齢猫では深刻な症状を引き起こす可能性があるため、早急な対応が必要です。
また、太ってる猫ちゃんが長期間の絶食を行なった場合、「肝リピドーシス」と呼ばれる重篤な状態になる場合があります。
2. 病態整理:猫の食欲不振の原因
2.1. 身体的な原因
猫の食欲不振の背景には、多くの身体的な要因があります。
一般的に高齢の猫ちゃんで多いのは歯周病と慢性腎臓病です。
若い猫ちゃんですと、猫カゼなどの感染症が多いです。
胃腸炎などの消化器疾患は全年齢で満遍なく発症する印象です。
また、糖尿病や甲状腺機能亢進症などの内分泌系の異常も、食欲に影響を与えることがあります。
2.2. 環境や心理的な原因
- ストレス:新しい環境や家族構成の変化、引っ越し、騒音などの環境的要因が猫にストレスを与え、食欲不振の原因となります。
- 不適切な食事:急なフードの変更や、フードの品質が悪い場合、猫は食事を拒むことがあります。
よくありがちなのが「今まで食べていたご飯を突然食べなくなった」と言われるケースです。
こちらは「ネオフィリア」という習性の場合があります。
ネオフィリアとは新しいものを好む習性のことを指します。
猫は元来、自分より小さな動物を食べて暮らす生物ですので、たくさんの種類の生物を食べられた方が生存に有利になります。
そういった生物学的な特性もあってか、普段と違うものを突然⾷べたくなることがあります。
この習性をネオフィリアといいます。
4. 治療法
診断および治療法は食欲不振の原因に応じて多岐にわたります。
4.1. 身体的原因に基づく治療
- 感染症:抗生物質や抗ウイルス薬、炎症を抑える薬が処方されることがあります。
- 消化器疾患:腸閉塞などの重大な疾患が原因の場合、外科手術が必要になることがあります。また、便秘や胃炎の場合、食事療法や内服薬での治療が一般的です。
- 歯科疾患:歯石除去や、必要に応じて抜歯が行われることがあります。
- 内分泌疾患:糖尿病や甲状腺機能亢進症などの慢性的な病気に対しては、インスリン注射や甲状腺抑制剤が処方されることがあります。
4.2. 環境や心理的要因に基づく治療
- ストレス管理:根本はストレスの原因となっているものから遠ざける、環境をもとに戻すことが最善です。
また、静かな環境を提供することや、ストレスを減少させるためにフェロモンスプレーを使用することが有効です。 - 食事の改善:食事が原因の場合、フードの種類を慎重に変更し、猫に合った食事を選ぶことが必要です。また、ウェットフードを追加したり、温めて風味を増すことも有効です。
これらの治療以外にも当院では耳に塗る食欲増進剤や、液体の食欲増進剤を使用することがあります。
まとめ
猫の食欲不振は、健康問題の重要なサインです。早期に原因を特定し、適切な診断と治療を行うことで、猫の健康を守ることができます。
耳に塗る食欲増進剤や、液体の食欲増進剤の使用をご希望の場合はお気軽にlineまたはお電話にてご相談ください。
本当にその薬が必要か、食欲不振の根本の原因が何か、精査した上で必要に応じて処方が可能です。