
フェレットを飼っていると、「最近、尻尾の毛が薄くなってきた」「背中の毛が抜けている」など、被毛の変化に気づくことがあります。
フェレットの脱毛は、季節による換毛など生理的なものによって起こる場合があります。一方で、皮膚疾患やホルモン異常など、病気が原因となっているケースもあります。
特にフェレットでは、副腎疾患によって脱毛がみられることがあります。尻尾や腰から毛が薄くなり、背中や体へと脱毛が広がったり、左右対称に毛が抜けたりする場合は、副腎疾患の可能性が考えられます。
本記事では、フェレットの脱毛で考えられる主な原因や、副腎疾患による脱毛の特徴、脱毛以外にみられる症状について獣医師が解説します。受診の目安も紹介するので、フェレットの毛の変化が気になる人は参考にしてください。
フェレットの脱毛にはどんな原因がある?
フェレットの脱毛には、季節による換毛だけでなく、皮膚疾患やホルモン異常などさまざまな原因が考えられます。
ここでは、フェレットの脱毛で考えられる主な原因について解説します。
季節による換毛
フェレットは、季節の変化に合わせて被毛が生え替わります。特に春や秋などの換毛期には抜け毛が増えるため、一時的に毛が薄くなったようにみえることがあります。
換毛による脱毛であれば、時間の経過とともに新しい毛が生えてくるのが一般的です。ただし、脱毛した状態が長く続いたり、毛が広範囲に抜けたりする場合は、換毛以外の原因が隠れている可能性があります。
換毛だから大丈夫と自己判断せず、気になる変化があれば脱毛の範囲や経過を確認することが大切です。
皮膚疾患やホルモン異常
フェレットの脱毛は、皮膚炎や寄生虫などの皮膚疾患が原因で起こることもあります。かゆみがある場合は、体を頻繁にかいたり噛んだりすることで、毛が抜けてしまうことがあります。
皮膚疾患による脱毛では、毛が抜けるだけでなく、皮膚の赤みやフケ、かさぶた、傷などがみられるでしょう。このような変化がある場合は、皮膚の状態も確認することが大切です。
また、フェレットではホルモンの異常によって脱毛が起こることもあります。特に、副腎疾患では特徴的な脱毛がみられることがあるため注意が必要です。
フェレットの脱毛で注意したい副腎疾患

フェレットの脱毛では。ホルモン異常に関係する副腎疾患にも注意が必要です。副腎疾患では脱毛をはじめ、さまざまな症状がみられることがあります。
ここでは、副腎疾患の特徴と脱毛の関係について解説します。
フェレットの副腎疾患とは?
フェレットの副腎疾患は、副腎に異常が起こり、性ホルモンに関連するさまざまな症状がみられる病気です。副腎は腎臓の近くにある小さな臓器で、体の機能を調整するホルモンを分泌しています。
フェレットでは、副腎の過形成や腫瘍などによってホルモンが過剰に分泌されると、脱毛や皮膚の変化、性器の腫れなどが見られます。
副腎疾患は、脱毛をきっかけに気づかれることも少なくありません。特に、尻尾や腰から毛が薄くなってきた場合は、ほかに気になる症状がないかも確認しておきましょう。
副腎疾患による脱毛の特徴
副腎疾患による脱毛には、いくつか特徴があります。特に、脱毛する場所や広がり方は、副腎疾患を疑うポイントのひとつです。
- 尻尾から脱毛が始まる
- 腰や背中に向かって脱毛が広がる
- 左右対称に毛が抜ける
- 脱毛した部分の毛がなかなか生えてこない
- 最終的に体の広範囲で脱毛することがある
このような脱毛が見られる場合は、副腎疾患の可能性が考えられます。ただし、脱毛の原因は副腎疾患だけではないため、脱毛の状態だけで判断せず、動物病院で診てもらうことが大切です。
脱毛以外でみられる副腎疾患の症状

フェレットの副腎疾患では、脱毛以外にも皮膚や体つき、性器、排尿などに変化がみられます。脱毛だけでなく、こうした変化にも注意することが大切です。
ここでは、副腎疾患で見られる脱毛以外の症状について解説します。
皮膚や体に現れる変化
副腎疾患では、脱毛に加えて皮膚が薄くなる、かゆみが出る、筋肉が落ちるなどの変化が見られることがあります。見た目の変化だけでなく、以前より元気がない、体つきが変わってきたと感じることもあるでしょう。
また、性ホルモンの影響によって、オスは性行動が強くなったり、メスでは発情に関連した変化が見られたりする場合もあります。
脱毛と一緒にこうした変化が見られた場合は、単なる換毛ではなく病気が原因となっている可能性も考え、動物病院への相談を検討しましょう。
性器や排尿に現れる変化
副腎疾患では、性ホルモンの影響によって性器や排尿に変化が現れることがあります。メスでは外陰部が腫れることがあり、避妊している場合でも見られます。
オスでは、前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、尿が出にくくなる場合があります。何度も排尿姿勢をとるのに尿が出ない、少量しか出ないといった様子が見られるときは注意が必要です。
特に、尿が全く出ていない場合は緊急性が高いため、できるだけ早く動物病院を受診してください。脱毛だけでなく、性器や排尿にも気を配ることが大切です。
動物病院を受診する目安
フェレットの脱毛には換毛などによる生理的なものもありますが、病気が原因の場合は早めに診察が必要です。脱毛の状態やほかに見られる症状を確認し、気になる変化があれば動物病院へ相談しましょう。
ここでは、フェレットの脱毛で受診を検討する目安について解説します。
こんな脱毛が見られたら受診を
フェレットの脱毛が次のような状態になっている場合は、換毛以外の原因が隠れている可能性があります。
- 尻尾から脱毛が始まっている
- 腰や背中に向かって脱毛が広がっている
- 左右対称に毛が抜けている
- 脱毛した部分の毛がなかなか生えてこない
- 時間が経つにつれて脱毛の範囲が広がっている
このような脱毛が見られる場合は、副腎疾患などの病気も考えられます。換毛かなと様子を見続けず、気になる段階で動物病院に相談しましょう。
脱毛以外の症状がある場合も早めに相談
脱毛に加えて、次のような症状が見られる場合は、副腎疾患などの病気が原因となっている可能性があります。
- 皮膚が薄くなった
- 体つきが細くなり、筋肉が落ちた
- 以前より元気がない
- メスの外陰部が腫れている
- オスは尿が出にくそう、何度も排尿姿勢をとる
- 尿が出ない
特に、尿が出ない、排尿しようとして苦しそうにしている場合は、尿路閉塞など緊急性が高い状態の可能性があります。脱毛の有無にかかわらず、すぐに動物病院を受診してください。
脱毛の経過を写真に残しておこう
フェレットの脱毛は、少しずつ範囲が広がっていきます。脱毛に気づいたら、定期的に写真を撮っておくと、毛の変化を確認しやすくなります。
同じ場所、同じような角度から撮影しておくと、脱毛の範囲や毛の生え方の変化を比較しやすくなるでしょう。また、動物病院を受診する際に写真を見せることで、いつからどのように脱毛が進んだかを獣医師に伝える際にも役立ちます。
脱毛が気になったときは、写真に残しておく習慣をつけておくとよいでしょう。
まとめ

フェレットの脱毛には、季節による換毛だけでなく、皮膚疾患やホルモン異常などさまざまな原因があります。特に、尻尾や腰から脱毛が始まり、背中や体へ広がっていく場合は、副腎疾患も疑われるため注意が必要です。
副腎疾患では、脱毛以外にも皮膚が薄くなる、筋肉が落ちる、性器の腫れ、排尿しにくいなどの症状が見られます。こうした変化がある場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
脱毛の原因を見た目だけで判断することは難しいため、気になる変化があれば脱毛の範囲や経過を写真に残しておくことも大切です。早めに異変に気づき、適切な診察につなげることが、フェレットの健康を守ることにつながります。

