
うさぎのくしゃみは、一見すると軽い症状のように見えることがありますが、実際にはさまざまな病気や環境要因が関係しています。
症状編では、くしゃみの出方や鼻水の有無など、見た目の違いによっていくつかのパターンがあることを解説しました。
その続きとして、うさぎのくしゃみを引き起こす具体的な病気について、代表的なスナッフルについて解説しますが、獣医師によっては捉え方も違います。当院では少し広い視点で慢性的な鼻症状として考えています。(詳細は別記事で解説しています。)
本記事では、その症状の背景にある具体的な病気について整理したものです。
うさぎのくしゃみで考えられる主な病気

うさぎのくしゃみは、軽い刺激だけでなくさまざまな病気が関係していることがあります。原因はひとつではなく、症状が同じでも背景は異なる場合があります。
代表的なものとしては、慢性鼻炎であるスナッフル、歯科疾患、感染症のほか、環境要因や鼻腔内異物などが挙げられます。
このように原因によって特徴が異なるため、くしゃみの内容だけで判断するのは難しいケースも少なくありません。
ここでは、主な原因について順番に解説します。
スナッフル|慢性鼻炎
スナッフルは、うさぎのくしゃみの原因として最も多い呼吸器疾患の一つです。
この病気は細菌感染などをきっかけに発症し、慢性的なくしゃみや鼻水が続く状態を指します。
例えば、最初は軽い症状だったものが、徐々に鼻水が増えたり、呼吸音が「ズーズー」と聞こえるようになるケースも少なくありません。また、症状が長引くことで体力や食欲低下につながります。
このようにスナッフルは単なる一時的な症状ではなく、慢性的に進行する呼吸器疾患として注意が必要です。
※詳しい定義や当院の考え方については別記事で解説しています。
歯科疾患|歯根膿瘍・不正咬合など
歯のトラブルも、うさぎのくしゃみの重要な原因の一つです。
うさぎの歯は一生伸び続けるため、噛み合わせが崩れたり歯が過剰に伸びることで、歯の根が鼻腔や鼻涙管を圧迫することがあります。
例えば、食欲はあるのに鼻水やくしゃみが続く場合や、片側だけ症状が出る場合には歯科疾患が関係しているケースも珍しくありません。また、進行すると顔の腫れや痛みを伴うこともあります。
このように歯科疾患は、見た目では分かりにくいものの、呼吸器症状として現れることがあるため注意が必要です。
ウイルス・細菌・真菌などの感染症
感染症も、うさぎのくしゃみの原因です。
ウイルスや細菌、真菌などに感染すると、鼻腔内で炎症が起こりくしゃみが出るようになります。
例えば、環境の変化やストレス、免疫力の低下がきっかけとなり、急にくしゃみや鼻水が始まることがあります。また、初期段階では軽い症状でも、悪化するとスナッフルのように慢性化するリスクも否定できません。
このように感染症は、初期対応が遅れると長期化する可能性があるため注意が必要です。
環境要因・刺激物によるくしゃみ
くしゃみは病気だけでなく、環境による刺激でも起こります。
牧草の粉やホコリ、香料や消臭剤などが鼻に入ることで、一時的にくしゃみが出ることがあります。
例えば、ケージ掃除の直後や新しい牧草に変えたタイミングでくしゃみが増える場合は、環境要因が関係している可能性があります。また、この場合は原因を取り除くことで症状が改善することが多いです。
このように環境要因によるくしゃみは一過性であることが多く、他の病気との見極めが重要になります。
鼻腔内異物
鼻の中に異物が入ることでもくしゃみは起こります。
牧草の破片やゴミなどが鼻腔に入り込むと、刺激によって急な連続くしゃみが出ることがあります。
例えば、片側だけくしゃみが続く場合や、突然症状が始まる場合には異物の可能性も考えられるでしょう。また、時間が経っても改善しない場合は、取り除く処置が必要になることもあります。
このように異物によるくしゃみは比較的分かりやすいケースもありますが、放置はおすすめできません。
腫瘍や慢性疾患|高齢個体
高齢のうさぎでは、鼻腔内の腫瘍などが原因でくしゃみが続くことがあります。
鼻腔内に腫瘍ができると、物理的に空気の通り道が狭くなり、くしゃみや鼻水が慢性的に続く原因になりかねません。
例えば、片側だけ症状が続く、長期間改善しない、徐々に悪化していくといった場合には注意が必要です。また、進行性の場合は呼吸状態にも影響することがあります。
このように高齢個体の慢性症状は、他の原因と区別しながら慎重な判断が必要です。
放置のリスク

うさぎのくしゃみは原因によっては軽度で済むこともありますが、病気が関係している場合は放置することで徐々に症状が進行することがあります。
ここでは、うさぎのくしゃみを放置した場合に起こりうる影響について解説します。
慢性化
最も多いのが症状の慢性化です。
初期は軽いくしゃみや鼻水だけでも、原因が改善されないまま続くことで日常的に症状が出る状態になることがあります。
例えば、最初は時々のくしゃみだったものが、気づくと毎日のように続くケースもあります。このように慢性化すると、治療にも時間がかかる傾向があります。
食欲低下・呼吸障害
症状が進行すると、鼻の通りが悪くなり呼吸がしづらくなることがあります。
それに伴い、体調の変化から食欲が落ちてしまうケースも珍しくありません。
例えば、鼻が詰まった状態が続くことで食事中に苦しさを感じ、食べる量が減ってしまうことがあります。このような状態は体力低下にもつながるため注意が必要です。
歯科・副鼻腔への波及
原因によっては、鼻だけの問題にとどまらず周囲の組織に影響が広がることがあります。
例えば歯のトラブルが関係している場合、歯根の炎症が副鼻腔へ波及し、症状が複雑化することがあります。また、鼻腔と歯は近い位置にあるため、相互に影響しやすい特徴があります。
涙嚢炎|鼻涙管閉塞による二次症状
鼻涙管が影響を受けることで、目の症状として現れることもあります。
具体的には涙が増えたり、目やにが出る「涙嚢炎」と呼ばれる状態です。
例えば、くしゃみや鼻水に加えて片側の目だけ涙が多い場合などは、鼻涙管の問題が関係している可能性があります。
まとめ

うさぎのくしゃみは、スナッフルをはじめとした呼吸器疾患や歯科疾患、環境要因など、さまざまな原因が関係している可能性があります。見た目だけでは原因を判断しにくいケースも多く、症状の背景を理解することが大切です。
また、原因によっては放置することで症状が進行することもあるため、早めの対応が重要になります。
なお、スナッフルについての詳しい定義や当院での考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【獣医師監修】ウサギがくしゃみをする理由とは?原因・治療法・ネブライザー療法と予防法まで徹底解説! | グリーンパーク動物病院-武蔵野市・西東京市・三鷹市の年中無休の動物病院
くしゃみの原因や病気の全体像を踏まえたうえで、次の記事では実際の治療方法について解説していきます。

