
本記事では、動物病院で実際にあった症例をもとに、ペットのトラブル時にどう対応が行われるのか、そして飼い主が知っておきたい受診の目安について解説します。
今回ご紹介するのは、猫がシリコン製の紐を誤飲してしまったケースです。
猫は遊びの延長で紐状のものに興味を持ちやすく、誤って飲み込んでしまう事故も少なくありません。特に子猫は好奇心が強く、思わぬものを口にしてしまうことがあります。
今回は6カ月の日本猫(去勢オス)が、お弁当のお箸ケースについていたシリコン製の紐を飲み込んでしまった可能性があり来院しました。
幸いにも今回のケースは大きな閉塞は起こらず、最終的に便と一緒に自然排出されました。実際の診察の流れもをもとに解説します。
来院時の様子(3月17日)
来院の約3時間前にお弁当のケースの一部が切れていることに気付きました。誤飲の可能性があると来院されました。
実際に飲み込んだ瞬間は確認されていませんでしたが、シリコン製の紐状の部分がなくなっていたため誤食が疑われました。
来院時点では
- 嘔吐なし
- 食欲低下なし
- 元気消失なし
などの症状はみられず、身体検査でも明らかな異常は確認されませんでした。
検査
異物による消化管閉塞の有無を確認するため、検査を行いました。
レントゲン検査
→明らかな異常は確認されませんでした

超音波検査
→腸管の閉塞は確認されませんでした。
現時点では異物による閉塞は認められない状態でした。
判断
検査の結果、現時点で閉塞は確認されませんでしたが、紐状の異物は腸内で絡まり閉塞を起こす可能性があります。
そのため
自然に通貨する可能性:約70%
閉塞する可能性:約30%
と飼い主へ説明しました。
対応として
経過観察
手術(試験開腹)
の選択肢を提示しました。
相談の結果、今回は経過観察を選択しました。
対応
異物の通過状況を確認するため カストログラフィン(造影剤)を飲ませました。
この薬剤を使用することで、レントゲン検査で消化管の流れを確認することができます。
翌日以降に再度レントゲン検査を行い、腸内の通過状況を確認することとしました。
翌日(3月18日)の経過
翌日の再診では
- 元気あり
- 食欲あり
と体調に大きな変化はありませんでした。
前日は食事を半量与えていましたが、特に問題なく完食していました。
排便は軟便〜水様便でしたが、これは造影剤の影響と考えられました。
レントゲンでは造影剤が大腸まで到達していることが確認されました。
また便の中に
シリコンの紐状の異物
紙の破片
が排出されていることが確認されました。

翌々日(3月19日)の経過
翌々日の再診では
- 元気
- 食欲
- 排便
すべて問題ありませんでした。
便の中から長いシリコン製の紐状異物が排出されていることが確認できました。
レントゲン検査でも異常はみられず、この時点で飲み込んだ異物のほとんどが排出されたと判断しました。
経過観察終了となりました。

まとめ|結果
今回の症例では、シリコンの紐を飲み込んでしまいましたが、幸いにも自然排出され大きな問題には至りませんでした。
しかし紐状の異物は、腸内で絡まることで腸閉塞を起こすリスクがあります。場合によっては手術が必要なケースがあります。
猫は遊びの延長で
紐
輪ゴム
ビニール
おもちゃのひも
などを飲み込んでしまうことがあります。
誤飲が疑われる場合や、以下のような症状が見られる場合は早めに動物病院に相談しましょう。
嘔吐
食欲低下
元気がない
誤飲は早期対応が重要なトラブルです。日頃から環境を整え、誤飲を防ぐことが大切です。

