犬の目が白くなる原因とは?核硬化症と白内障の見分け方
「愛犬の目が白く濁ってきた」「年を取ってから目の色が変わった気がする」 そんなときに考えられる代表的な原因が核硬化症と白内障です。
どちらも老化に伴ってよく見られますが、見た目は似ていても原因や治療方針が大きく異なります。この記事では、それぞれの特徴や見分け方を獣医師の視点から解説します。
犬の目が白く見える2つの代表的な原因
① 核硬化症(かくこうかしょう)とは
核硬化症は、犬が加齢によって水晶体の中心が硬くなる現象です。 シニア期(7歳以降)によく見られますが、視力への影響はほとんどありません。
- 白さは淡いグレーや青白い透明感のある濁り
- 物にぶつかったり、歩行に支障が出ることは少ない
- 進行しても治療は不要で、経過観察で問題なし
核硬化症は老化現象の一つであり、病気ではありません。
② 白内障(はくないしょう)とは
白内障は、目の中の水晶体が白く濁る病気です。 加齢だけでなく、糖尿病や外傷、遺伝などが原因で起こることもあります。
- 白さは真っ白〜乳白色で濁りが強い
- 視力が低下し、物にぶつかったり段差を怖がることがある
- 進行すると失明の可能性もある
白内障は早期診断と治療が重要です。点眼薬で進行を抑えたり、外科手術で視力を回復できる場合もあります。
ただし当院には白内障の手術設備がないため、眼科専門病院を紹介することになります。
また、老齢性の白内障については老齢性白内障の進行を緩徐にする点眼薬がありますので、そちらを処方することとなります。
核硬化症と白内障の見分け方
| 項目 | 核硬化症 | 白内障 |
|---|---|---|
| 原因 | 加齢による水晶体の硬化 | 加齢・糖尿病・外傷など |
| 目の色 | 青白く透明感がある | 真っ白・乳白色で濁る |
| 視力 | ほぼ正常 | 低下し、物にぶつかることがある |
| 治療 | 不要(経過観察) | 点眼や手術で治療が必要 |
動物病院で受診すべきタイミング
- 目の白さが急に強くなった
- 歩行中に物にぶつかる
- 目をかゆがる、こする
- 涙や目ヤニが増えている
こうした症状がある場合は、白内障やその他の眼疾患の可能性があります。 早めに動物病院で診察を受けることで、進行を抑えられることもあります。
まとめ:目が白くなってもすぐに病気とは限らない
犬の目の白さには、「老化現象」と「病気」の両方の可能性があります。 見た目だけでは判断が難しいため、気づいた時点で一度動物病院に相談しましょう。
早期発見・早期対応が、愛犬の視力を守る一番の近道です。

