目次
1.はじめに
2.出国前の準備
2-1.渡航先の「動物検疫」ルールを確認
2-2.台湾の動物検疫ルールと事前申請
2-3.日本出国前の準備とNACCSについて
2-4.動物病院でのチェック
2-5.動物検疫所での輸出検査
3.航空会社・輸送方法の選び方
4.実体験:台湾渡航当日の流れ
空港での流れ
ペット用キャリーケースの基準と慣らし方
到着後の受け取り時に気をつけたいこと
5.渡航先(台湾)での注意点
6.帰国時のポイント
7.まとめ
1.はじめに
本記事は筆者の渡航時の実体験に加え、2025年9月時点で確認した情報をもとに構成しています。制度は変更される可能性があるため、申請前に必ず各国の公式情報をご確認ください。
ペットとの海外渡航は、
「何から始めればいいのかわからない」
「情報が断片的で不安」
と感じる方も多いと思います。
この記事が、これからペットとの海外渡航を考えている方の具体的な指針になれば幸いです。
2.出国前の準備
渡航先の「動物検疫」ルールを確認しよう
渡航先ごとの検疫ルール
出発前に必ずチェックしよう
ペットを海外へ連れて行く際に最も重要なのが「渡航先の検疫ルール」です。国ごとに動物検疫制度が異なるため、事前に確認して準備を整えなければ、入国時に長期の隔離や最悪の場合は入国拒否となってしまうこともあります。ここでは代表的な国や地域のルールを整理しました。
詳しくはこちら
アメリカ合衆国
- 犬の場合:狂犬病予防接種の証明書が必須。接種後30日以上経過している必要がある。
- 猫の場合:狂犬病ワクチン証明は義務化されていない州もあるが、州によっては検査を求められる場合がある。
- 健康証明書:獣医師による英文の健康証明書が必要。
- 隔離は原則なしだが、書類不備があると入国できない場合がある。
アメリカは州や入国条件によって必要書類が異なる場合があります。犬や猫の条件は州ごとの差があるため、到着地の規則を必ず確認してください。
カナダ
- 犬・猫ともに狂犬病ワクチン証明書が必要。
- ペットの年齢や滞在国によっては追加検査を求められることがある。
- 健康証明書は必須ではないが、航空会社から提示を求められることが多い。
イギリス(EU共通ルールの一部)
- マイクロチップ装着が義務。
- 狂犬病ワクチン接種後21日以上経過していることが必要。
- 犬の場合は寄生虫(エキノコックス)駆除の証明が必要。入国前24〜120時間以内に実施しなければならない。
- 書類不備の場合、最大で4か月間の隔離措置が取られる。
オーストラリア
- 動物検疫が世界で最も厳しい国のひとつ。
- 狂犬病清浄国(例:日本)からの場合でも、入国には事前に輸入許可証の取得が必須。
- 日本からの場合は原則10日間の検疫隔離が必要。
- 輸入可能な犬種・猫種が限定されているため、事前確認が不可欠。
台湾
- 狂犬病非発生国(日本など)からの入国は必要書類と事前申請を満たせば、係留なしで入国できる場合があります。だが、事前申請が必要。
- 狂犬病ワクチン接種証明書とマイクロチップ装着が必須。
- 条件を満たせば係留(隔離)なしで入国可能
筆者は台湾へ入国、出国したので以下では特に台湾の検疫について詳しくお話ししていきます。
2-2. 台湾側の動物検疫ルールと事前申請
狂犬病ワクチンの接種、マイクロチップの挿入など様々な条件がありますが、条件を満たした後まずは台湾のサイト「農業部動植物防疫檢疫署 輸入犬貓檢疫資訊網」こちらから申請を出します。
申請には、パスポート情報、台湾への渡航日、台湾での滞在先住所、連絡先電話番号、ペットの情報(生年月日、性別、体重、マイクロチップ番号など)、狂犬病ワクチン接種証明書が必要です。
英語版も用意されているため、中国語での入力に不安がある場合は英語版を利用するとよいでしょう。
申請後、数日から1週間程度で確認メールが届くことがあります。審査状況によっては、それ以上かかる可能性もあります。問題なく申請が受理されると、システム上で「已同意(承認済み)」と表示されます。
筆者の場合、狂犬病ワクチン証明書に病院印や証明ラベルがなく、確認のため再提出を求められました
確認までに時間が必要なので、余裕を持って申請できるといいと思います。
2-3.日本側の出国準備とNACCSについて
出国前に必要な準備
渡航先によって必要期間は異なりますが、少なくとも数か月前から準備を始めるのが安心です。特に抗体価検査や待機期間が必要な国・再入国では、半年以上前からの準備が必要になる場合があります。
- マイクロチップの装着:国際規格(ISO規格)のマイクロチップを装着し、その番号を記録しておきます。
- 狂犬病ワクチン接種:渡航先によっては接種証明書が必須。1回だけでなく2回接種が求められる国もあります。
- 混合ワクチン・寄生虫予防:狂犬病以外にもワクチンや寄生虫駆除証明を求められる国があります。
- 抗体検査(必要な国):イギリス、オーストラリア、日本再入国などでは、狂犬病抗体検査を指定機関で受ける必要があります。
- ⇨当院でも狂犬病抗体価検査は対応可能です。詳しくはスタッフにご相談ください。
- 健康証明書:渡航直前に獣医師が発行する健康証明書が必要です。
これらの条件を満たしたうえで、出発の10日前までに動物検疫所へ「輸出検査申請」を行う必要があります。
注意点
- 国によっては半年以上前から抗体検査やワクチン接種を計画しておかないと渡航できません。
- 特に日本へ再入国する予定がある場合は、出国前の時点でマイクロチップ、狂犬病ワクチン接種歴、抗体価検査の条件をそろえておく必要があります。
- 出発前の準備不足が、帰国時の長期係留につながることもあるため注意が必要です。
2-4.動物病院でのチェック
動物病院でのチェック
ペットを海外に連れて行く際は、必ず動物病院で健康診断を受けましょう。以下の点をチェックしてもらうことが大切です。
- 全身の健康状態(心臓・呼吸・体重など)の確認
- マイクロチップの読み取り確認
- 狂犬病・混合ワクチン接種の記録と証明書の発行
- 寄生虫駆除(必要な国では必須)
- 渡航直前の健康証明書の発行
健康証明書の内容 動物検疫所HPより引用 サンプル
- 犬又は猫の個体情報 (品種、性別、毛色、生年月日、マイクロチップ番号)
- 発行年月日
- 発行動物病院の名称、所在地、電話番号
- 発行獣医師の氏名
- 健康であること、又は、狂犬病(犬の場合は狂犬病とレプトスピラ症)にかかっている疑いがないこと
- 狂犬病予防接種年月日、その他の予防接種年月日、内部寄生虫駆除、外部寄生虫駆除など(相手国が入国条件としている場合)
これらを事前に確認しておくことで、空港での検疫や入国手続きがスムーズになります。ペット自身の体調管理の面でも重要です。。
2-5.動物検疫所での輸出検査
輸出検査の申請
動物検疫所について
動物検疫所は、ペットの輸出入時に必要書類や健康状態を確認し、検疫証明書を発行する機関です。
- 輸出検査:日本から海外にペットを出す際に、マイクロチップ、ワクチン、健康状態などが輸出条件を満たしているか確認
- 輸入検査:海外から日本にペットを連れて帰る際に、狂犬病やその他の病気の侵入を防ぐための検査
- 証明書の発行:渡航に必要な「輸出検疫証明書」や「輸入検疫証明書」を発行
動物検疫所は主要な空港や港に設置されています。利用予定の空港に対応窓口があるか、事前に確認しておきましょう。
日本側の輸出検査申請は、動物検疫関連の電子申請システム【NACCS】(以下NACCS)で行えます。
利用の流れ(出国の場合)
- 事前申請:NACCSや書面で輸出検査を申請
- 必要書類の提出:ワクチン接種証明、マイクロチップ番号、健康証明書など
- 出発当日の検査:空港の動物検疫所で最終確認を受け、「輸出検疫証明書」が発行される
NACCSでの申請方法
- NACCSアカウントを作成:利用には事前登録が必要です。
- 輸出検査申請を入力:ペットの種類、マイクロチップ番号、ワクチン接種歴などを入力。
- 必要書類をアップロード:ワクチン証明書や健康証明書を添付します。
- 申請内容の確認:受付番号が発行され、検疫所側で審査が行われます。
- 輸出検査を受ける:出発当日、空港の動物検疫所で最終チェックを受け、問題がなければ「輸出検疫証明書」が交付されます。
筆者の場合、マイクロチップ装着証明書や狂犬病ワクチンの製造番号の記載不備があり、成田空港の動物検疫所から修正依頼のメールが届きました。メールでのやり取りとNACCS上での修正対応が必要になったため、申請はできるだけ早めに済ませておくことをおすすめします。
3.航空会社・輸送方法の選び方
日本から台湾への路線でペット輸送に対応している主な航空会社には、ANA(全日本空輸)、JAL(日本航空)、チャイナエアライン、エバー航空などがあります。航空会社ごとに「機内同伴」「貨物扱い」「季節による温度制限」などの条件が異なるため、必ず事前に最新情報を確認しましょう。安全で快適な渡航のためには、出発の1〜2か月前から航空会社に連絡を開始するのが理想です。
筆者は今回、愛猫を台湾へ連れて行くためにチャイナエアライン(China Airlines)を利用しました。
同じ航空会社でも、機材や便によってペット受け入れの可否が異なる場合があります。そのため、航空券購入前に必ず確認が必要です。
ペットを輸送する場合は事前予約が必須で、筆者は電話で予約を行いました。航空会社ごとにキャリーケージの規格や材質の条件が定められているため、こちらも事前にチェックしておきましょう。
筆者が利用した際は、日本から台湾までの輸送料金は280米ドルでした。料金は時期や区間、ペットの条件によって変動する可能性があります。費用については、日本から台湾までの輸送料金が280米ドルでした。料金はペットのサイズや輸送区間によって異なります。支払いは空港のチェックインカウンターで、当日のレートに基づいた日本円換算額を支払う仕組みです。
4.実際の台湾渡航の手続き
ここからは筆者の実体験をもとに実際の当日の流れについてお話しします。
空港での流れ(チェックインから検疫まで)
当日は朝7時に食事を済ませ、8時に自宅を出発しました。
成田空港の動物検疫所は一般のチェックインカウンターとは別の場所にあるため、案内メールや事前案内図を確認して向かうと安心です。11時に動物検疫所を予約していましたが30分早い10時30分でも受付してくださいました。必要書類(狂犬病抗体検査、狂犬病ワクチン接種証明書、健康証明書、台湾の農業部が発行する動物検疫所の同意書など)を提出し、動物検疫所の獣医さんに軽く検査してもらいます。検査後、渡航先で必要となる輸出検疫証明書が発行されます。この証明書は、航空会社への提出や到着先での検疫手続きに必要になるため、紛失しないよう大切に保管してください。
ペット用キャリーケースの基準と慣らし方
動物検疫所で輸出検疫証明書を発行してもらうと、いよいよお預けです。通常通り航空会社のチェックインカウンターでチェックインを行います。この際、先ほどの輸出検疫証明書や、渡航先の国の動物検疫所が発行する同意書が必要になるので用意します。また、航空会社規定のペットをお預けする際の同意書も必要になりますので、こちらもお渡しします。ケージの規格、重さなどのチェックが完了するとそのままお預けです。


以下は、当時チャイナエアラインが案内していた主なクレート条件です。
最新条件は必ず公式案内をご確認ください。
- ペット用クレートにはドアは一つだけ、4つの側面には換気口
- 床が吸収性の高い素材で覆われていること。
- ケージ扉の4隅がジップタイでしっかりと留められていること。
- 生きた動物であることを示す貨物取扱ラベル(Live Animal Label)が貼られていること。
- 水と餌が十分に入った容器がケージ内に設置されていること。
- ケージの外部は梱包用の紐で補強いただけます。
- 車輪付きのペット用クレートは使用できません。
5.渡航先(台湾)での注意点
台湾到着後の受け取り時に気をつけたいこと
台湾到着後、ペットはすぐに受け取れるとは限らず、検疫所への搬送に少し時間がかかることがあります。その間に入国手続きや検疫手数料の支払いを先に済ませておくとスムーズです。
着陸後一刻も早く、受け取って状況を確認したくなりますが、受け渡しは入国検査の後、貨物受け取り付近にある、台湾の動物検疫所に航空会社のスタッフが届けにきてくれます。筆者は早く会いたかったのですが、入国カードを記入しそびれ、列を並び直しに。。。だいぶ時間が経ってから動物検疫所に着いたのですが、まだペットが届けられてなく少し不安になりました。届けられるまでに少し時間がかかるようなので、先に手続きを行い、動物検疫所の手数料を近くにある台湾銀行に支払いに行きました。支払いを終えると既に動物検疫所に届けられており、簡単な検査(マイクロチップの確認)をして、無事受け取ることができました。
6.帰国時のポイント
日本へ帰国する場合
日本へ帰国する場合、日本は狂犬病清浄国であるため、再入国にはマイクロチップの装着、狂犬病ワクチン接種歴、狂犬病抗体価検査などの条件を満たしている必要があります。条件を満たしていない場合は、長期の係留検疫となる可能性があるため注意が必要です。
また、台湾側でも輸出検疫の事前申請が必要になります。
必要書類の一例は以下の通りです。
- 直近2回分の狂犬病ワクチン接種証明書
- 日本向け動物輸出検疫証明書の写し
- 台湾の動物輸入検疫証明書
- 狂犬病抗体価検査報告書
- 日本の輸入許可書※
- Form A/C※(出国前10日以内に獣医師の署名・捺印が必要)
- ペット登録証(動物病院で登録・印刷してもらうことも可能です)
- パスポート
- 航空券
出国前10日以内には、台湾の動物病院で健康証明書である Form A/C などを取得する必要があります。ただし、この手続きに対応できる動物病院は限られているため、病院探しに苦労することもあるかもしれません。
さらに、Form A/C は動物病院で作成してもらうだけではなく、その後、台湾の動物検疫所で検疫を受けたうえで、政府機関による「裏書証明」を受ける必要があります。つまり、動物病院の証明書に加えて、政府の承認印も必要になるということです。
なお、台湾の動物検疫所での検疫は、書類に不備があった場合、出発当日では対応が難しいことがあります。そのため、当日ではなく事前に受けることが勧められました。筆者は余裕をもつため、出発の2日前に検疫を受けましたが、実際に1か所書類不備が見つかったため、早めに受けておいてよかったと感じました。
※補足
上記の「日本の輸入許可書」は、NACCSで輸入届出を行った後にダウンロードできる「動物の輸入に関する届出受理書」を指します。
そのため、別途書類を申請する必要があるわけではなく、輸入届出の完了後に取得可能です。
また、Form A/Cについても同様に、NACCS上からダウンロードすることができます。
まとめ
ペットとの海外渡航は、航空券を取ればすぐに行けるものではなく、渡航先ごとの検疫条件の確認、必要書類の準備、動物病院での事前チェック、航空会社への事前確認までを含めて、計画的に進める必要があります。特に国や地域によって、マイクロチップ、狂犬病ワクチン、健康証明書、抗体価検査、寄生虫駆除などの条件が異なるため、「他の国では大丈夫だったから今回も大丈夫」とは限りません。
今回ご紹介した台湾への渡航では、事前申請が必要であり、書類の記載内容や押印の有無によって再提出になることもありました。また、日本側でもNACCSでの申請や動物検疫所での確認が必要で、証明書の不備があると修正対応が発生します。つまり、実際の渡航準備では“必要書類をそろえる”だけでなく、“内容に不備がないかを早めに確認すること”が非常に重要です。
さらに、見落としやすいのが帰国時の条件を出国前から意識しておくことです。特に日本は狂犬病清浄国であるため、再入国時の条件を満たしていないと、長期の係留検疫につながる可能性があります。渡航先への入国準備だけでなく、帰国時に必要となるワクチン歴や抗体価検査、各種証明書まで含めて逆算して準備しておくことで、後から慌てずに済みます。
また、当日の流れについても、空港での動物検疫、航空会社での預け入れ、到着後の受け取りや検疫手数料の支払いなど、想像以上に確認事項があります。ペット自身にとっても移動は大きな負担になるため、クレートに慣らしておくこと、無理のないスケジュールを組むこと、到着後すぐ対応できるよう書類を整理しておくことも大切です。
ペットとの海外渡航を成功させるためのポイントをまとめると、次の4つに集約されます。
- 渡航先の最新ルールを必ず公式情報で確認すること
- 書類や証明書は余裕をもって準備し、不備がないか事前に見直すこと
- 航空会社ごとの輸送条件を早めに確認すること
- 帰国予定がある場合は、日本再入国の条件まで含めて準備すること
海外へ一緒に行くというのは、飼い主にとってもペットにとっても大きな出来事です。不安も多いと思いますが、必要な流れを一つずつ整理して準備すれば、十分に実現可能です。
この記事が、これから愛犬・愛猫との海外渡航を考えている方にとって、準備の全体像をつかむ助けになれば幸いです。

