誤食歴が有り無し関係なく、誤食をしてしまった子の飼い主様は来院時に皆こうおっしゃいます。

「うちの子は誤食しません」「気をつけて見ていたので食べていません」

まさかそんな事をするとは思わなかった…、注意していたはずなのに一瞬の隙に…

『異嗜・異食症』は、ペット自身に罪はありません。

人間にとっては問題行動ですが、動物たちにとっては正常な行動であることが多いからです。

つまり、誤食を防ぐには飼い主様の努力が不可欠です。

今回はそんな誤食の症例のご紹介です。

キャバリア 3歳 去勢雄

明け方から何度も嘔吐して丸一日食欲がないとのことでご来院されました。

この子は過去に何度もコーヒーの粉や人間の薬などの誤食歴があるため、誤食による異物の消化管閉塞を疑い、造影剤によるレントゲン検査を行いました。

その結果、胃からの排出遅延と十二指腸での閉塞が示唆されました。

異物による閉塞は、放置すると腸管の壊死などにより命に関わるため、試験開腹を実施しました。

ここからは手術画像となるため、苦手な方は閲覧を控えるようにお願いいたします。

丁寧に触診していきます。胃内には何もありませんでした。

小腸内に異物がありました。

腸管を部分切開し異物を摘出していきます。

異物は松ぼっくりのようでした。どうやら前日に井の頭公園を散歩した時に食べてしまったようです。

この子は無事に元気に退院しました!

誤食癖がある子は、“注意する”だけでは食べてしまうことがよくあります。

物理的に誤食しないための対策をしてください。

それは単純で

①口に入る可能性のある物を無くす

②口輪を付ける

の2種類があります。

①は家の中の床はもちろん、後ろ足で立ったりジャンプしたり届く範囲全てです。

例外はありません。外しておいた自分の首輪を食べる子もいます。

少しメルヘンチックですが、同居の猫ちゃんにお菓子を落としてもらうという共謀を働く子もいました。

片付けるのが難しければ、留守中や目を離す時、サークルやケージにいてもらうのが安全です。

②は散歩などの外出時に、予期せぬ誤食を防ぐためです。食べようとしたらリードを引っ張ればいいと思われるのであれば、食べてはいけないものを食べてしまう可能性があります。

水だけ飲めるアヒル口の可愛い口輪も出ていますから、ぜひ使ってください。

誤食をする子はそれが採食という本能の一貫であり、悪い事だと認識していないため、叱るのは効果的ではありません(イタズラとは行動原理が異なります)。

行動学的に別に原因があったり、実は内科疾患を抱えていたりする事もあるため、誤食癖を治療するには広い視野が必要になります。