はじめに

「ウサギがくしゃみをしているけど病気?」「鼻水も出ていて心配…」そんな不安を感じたことはありませんか?
ウサギのくしゃみは、アレルギーなど軽度のものから、細菌感染・歯の異常・呼吸器疾患など重度の病気まで、さまざまな原因が考えられます。
本記事では、ウサギのくしゃみの原因・治療法・予防法に加え、有効な治療手段である「ネブライザー療法」についても詳しく解説します。


ウサギがくしゃみをする主な原因とは?

1. 細菌感染(スナッフル)

ウサギの鼻炎で最も多いのが、パスツレラ菌などによる細菌感染です。
この感染症は「スナッフル」とも呼ばれ、くしゃみ・粘り気のある鼻水・涙・呼吸音の異常などを引き起こします。

2. アレルギー反応

空気中のハウスダスト、タバコの煙、香料、洗剤、床材などに反応してアレルギー性鼻炎を起こすことがあります。
この場合、くしゃみ以外の症状は出にくいこともあります。

3. ケージや敷材による刺激

ウサギのケージに使われている牧草の粉塵や木のチップ、ペレット状の床材が鼻を刺激することで、一時的なくしゃみが出る場合もあります。

4. 歯のトラブル(歯根膿瘍など)

ウサギは奥歯の根が鼻腔に近接しており、歯根の炎症や膿瘍がくしゃみの原因になることがあります。
口腔内をスコープで見たり、レントゲン検査をしたりします。現在はCTでの評価最も有効とされています。

5. ウイルス・真菌・寄生虫

頻度は低いものの、ウイルスや真菌、鼻腔内寄生虫が原因でくしゃみが出ることもあります。


ウサギのくしゃみの治療法|ネブライザー療法が効果的!

ネブライザーとは?

ネブライザーは、薬液を霧状にしてウサギが吸入することで、鼻や気道に薬を届ける医療機器です。
くしゃみの原因となる鼻炎・気道感染症に対し、効果的に治療が行える方法として近年注目されています。

ネブライザーが適応となる主な病態

  • パスツレラ性鼻炎(スナッフル)
  • 上部気道感染症
  • 粘度の高い鼻汁による鼻づまり
  • 慢性副鼻腔炎

使用される主な薬剤

目的使用される薬剤例
抗菌オルビフロキサシン
去痰・加湿生理食塩水、ブロムヘキシン
抗炎症ブデソニドなどのステロイド(必要時)

治療の流れ

  1. ネブライザー機器に薬液をセット
  2. ウサギをキャリーまたは専用ボックスに入れる
  3. 5~15分程度、霧状の薬を吸入させる

※ストレスを最小限にするため、飼い主の見守りや環境の工夫が必要です。
当院ではネブライザーボックスを使用せずに薬液をそのまま嗅がせてあげています。


その他の治療法と検査

検査内容目的
鼻汁の培養検査菌の特定と薬剤選択
レントゲン検査歯や副鼻腔の確認
血液検査全身状態や炎症の有無を確認

治療には内服薬や点鼻薬を併用することもありますが、ネブライザーは特に局所に直接効果を発揮しやすく、副作用が少ないという利点があります。

ただし、原因によってはくしゃみの完治は難しく、定期的にネブライザーを実施する必要があります。


ウサギのくしゃみを予防する方法

1. 飼育環境を清潔に保つ

  • 床材や牧草の粉塵を減らす
  • ケージや部屋の換気をこまめに行う
  • 空気清浄機の活用も有効

2. アレルゲンの除去

  • 洗剤や芳香剤などの刺激物の使用を控える
  • タバコの煙を完全に避ける

3. 定期的な健康チェック

  • 鼻水・涙・くしゃみが出ていないか日々観察
  • 歯科検診を定期的に受ける(特に奥歯)
  • 症状が軽いうちに動物病院で相談する

まとめ|くしゃみは重要なサイン!ネブライザー療法で早期改善を

ウサギのくしゃみは、環境要因から呼吸器疾患まで幅広い原因が考えられます。
「いつもよりくしゃみが多い」「鼻水が出ている」などの症状があれば、早めの受診と適切な治療が大切です。

特に、ネブライザー療法はウサギの呼吸器疾患に対して有効かつ安全な治療法として活用されています。
愛ウサギの健康を守るために、日常のケアと定期チェックを心がけましょう。