不正咬合
ウサギの歯は何本あるか知っていますか?
正解は、28本(切歯:前歯6本、臼歯:奥歯22本)!
この28本の歯はすべて伸び続ける歯(常生歯)になります。
今回は臼歯(奥歯)の不正咬合についてご説明します。
切歯、臼歯ともに正常ならば上下の歯をすり合わせる動きにより伸びた歯は削れていき、正しい状態で維持されます。
しかしいろいろな原因により、うまく上下の歯が削れないと不正咬合になります。
原因は、ウサギの小型化、栄養的な問題、遺伝などもあるのですが、最も重要な原因は不適切な食餌(牧草を食べない、牧草の量が少ない)です!
不正咬合になると、伸びた歯が尖ることで舌や頬の粘膜を傷つけたり、食餌をとれなくなってしまいます。食欲低下の他の症状としては口をくちゃくちゃする、口を気にする動作をする、よだれが増えるなどもあります。
伸びすぎてしまった歯は自然に治ることはないので、切る、削るなどの治療が必要になります。
切歯(前歯)の不正咬合の場合は無麻酔でも処置できますが、臼歯の不正咬合の処置は基本的には麻酔が必要になり、またある程度経験がないとできない処置でもあります。
当院ではウサギの不正咬合の処置を行っていますので、気になる方はご相談ください。
また普段の診察の際にも口腔内(奥歯)のチェックを行っていますのでお申し付けください。
ウサギの避妊手術
ウサギは子宮疾患の発生頻度がとても高い動物です。
ウサギは小型の草食動物であり、肉食動物に捕食される立場にあるため、子孫を残す必要性から優れた繁殖力を備えています。
女の子の繁殖は主に卵巣から分泌される雌性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)に司られています。
ところが、妊娠する機会がほとんどない家庭のウサギの場合はホルモンバランスが崩れ、発情状態が続きます。
この不自然なホルモンバランスは子宮や乳腺にさまざまな悪影響を及ぼし、寿命を左右するばかりでなく(4歳以上の未避妊のウサギは80%以上が子宮がんに罹っていると報告されています)、雌ウサギはイライラした状態が続くので、ご家族とコミュニケーションをとる上での大きな障害となります。
避妊手術は雌雄が一緒に生活している場合の繁殖の制限を目的に行われる他、雌ウサギに多い子宮、卵巣、乳腺の病気を予防するためにも行われます。
また、ホルモンストレスが少なくなるために攻撃性がなくなり、とても穏やかになることがあります。
避妊手術をするとエネルギー要求量が減るため、術後の回復期が過ぎた頃から肥満防止のために食事量を減らす必要があります。個体差があるので一概には言えませんが、手術前の8割程度の量に押さえ、適切な体重を保つようにしましょう。
ウサギの去勢手術
ウサギの去勢のデメリットとメリットについて解説
オスのウサギを迎えたときに、去勢をするかどうか考える飼い主は少なくないのではないでしょうか。
去勢には色々なメリットがありますが、去勢手術にはリスクも少なからずある為、しっかり理解して手術をする必要があります。
今回の記事はウサギの去勢について、デメリット・メリット、去勢の適した時期や病気リスクについて解説します。
去勢とはどういうこと?
"去勢"とは、オスの精巣(睾丸)を手術によって取り除くことをいいます。
そうすることで、オスのウサギの生殖が不可能になり、精巣から出ているホルモンの影響を受けなくすることが出来ます。
ウサギに去勢はするべきなのか
オスのウサギを去勢をすることは、想定外の出産を防ぐことに繋がり、問題行動の減らすことが出来たり、病気の予防になるなどのさまざまなメリットがあるため、獣医学的には推奨されています。
ただし、去勢には去勢後に太りやすくなったり、全身麻酔のリスクがあるなどのデメリットもあります。
デメリットとメリットをよく理解し、ウサギの生活環境や健康状態、性格などを含めて決めるといいでしょう。
去勢はいつから行って良いのか
手術に適している時期は、生後6~12ヶ月にあたります。これよりも早すぎると精巣が陰嚢に降りていない可能性や、尿道の成長が悪化することでのちのち尿道閉塞になる場合があります。
ウサギが持つ精巣はもともとお腹の中の左と右に2つあり、生後3ヶ月ごろから陰嚢(いんのう)という袋の中に降りてきます。時には精巣がお腹の中や鼠経(そけい)部に留まってしまうことがあるため、精巣が2つ陰嚢(いんのう)にあるかをしっかり確認する必要があります。
去勢手術のタイミングが高齢になるほど内臓が弱ってきて麻酔のリスクが高くなっていきます。
去勢をしない場合の病気リスク
- 精巣がガンになる
精巣がガンになってしまう病気リスクです。特に停留精巣では、精巣腫瘍になる可能性が高くなります。
精巣が精巣炎と同様に腫れてしまい、左と右で精巣の大きさに違いがあるなどの症状が出ますが、発熱や痛み、食欲や元気の低下は認められないことが多いです。
外見だけでは判断が難しいこともあるため、その場合には去勢手術を行い、精巣をしっかり検査することで診断します。 - 精巣に炎症が起きる
精巣に細菌が感染することで炎症が起きる病気です。
身体の別の場所で感染した細菌が血の流れによって精巣に運ばれるか、精巣自体が損傷することによって精巣に細菌が増殖、感染します。そうなると炎症が発生し、痛みや腫れが認められるようになります。
去勢によるデメリットについて
- 体重が増加する可能性がある
繁殖に使用するエネルギー要求量が減少するため、手術の前と同じ食事量だと体重が増えやすくなります。体重を定期的に測り、体重が増加しそうであれば食事内容や食事量を調整する必要があります。 - 食欲が低下する可能性がある
去勢手術以外でも、リスクが0になることはありません。去勢手術もそのひとつで、全身麻酔のリスクが存在します。
また、手術の後に食欲が減ってしまうこともあるため、その場合には食事のサポートをしてあげる必要が出てきます。
去勢によるメリットについて
- 気性が穏やかになる
去勢していないオスのウサギは、縄張りの意識が大変高いことから、スプレー行為と呼ばれるおしっこをあちこちにマーキングすることで縄張りを主張したり、飼い主に対して攻撃的な性格になったりします。
そして、オスのウサギ同士は勢力争いからケンカが絶えず、大ケガになってしまうこともあります。
そのような問題行動が軽減され、行動が穏やかになる可能性が高くなります。 - 精巣炎などを予防する
メスのウサギほど生殖器の病気の発生率は高くないですが、精巣腫瘍や精巣炎といった病気の予防になります。
ウサギの脱水について
みなさんはウサギは水を飲むと死んでしまうって聞いたことありますか?
結論からいうと水を飲んでも死にません。
では、なぜそういわれるようになったのか。
ウサギさんが自分で水を飲むときというのは、脱水しているときです。
ウサギさんは昔、ほとんど商業用として飼われていました。
そのためウサギ用のペットフードがあまり発達していませんでした。
はじめは余った野菜のカス(人が食べない部分等)をあげていました。しかし、野菜カスだけでは栄養バランスがしっかりとれません。
なので、当時屋外で飼っていたウサギさん達は温度や湿度など環境の変化で体調を崩した時、野菜で足りない分の水分を水を飲んで補給するようになります。
なので、昔の人はウサギがいつも飲まない水を飲み始めるのをみて「ウサギが水をを飲むと死ぬ」と思ったわけですね。
20~30年ぐらい前から少しずつ、ウサギが露店で売られはじめ愛玩動物として、飼われるようになりました。
その時のウサギさんの平均寿命は3歳ぐらいでした。
その主な理由がウサギさんの環境です。
具体的には
- ウサギ用のペットフードが発達してない
→安く太らせるためのペレットと水しかあげていなかった - ウサギが草食動物であるという認識が甘い
→犬に残飯、猫にはねこまんまをあげていた時代ですので - 屋外で飼っている
しっかりした環境を提供してあげると、ウサギさんは長生き出来ます。